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柴犬あきとの生活 108

気になるけど怖い

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金柑の落ちていた場所から離れ、来た道を引き返します。あきはご機嫌でまた芝の匂いを嗅いで歩いています。

すると、何かを見つけて立ち止まりました。

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背中に緊張が漲っています。

あきの視線の先を見ると、グレーの毛の洋服を着た小型犬がお散歩中でした。こちらに歩いて来ます。

あきは落ち着かない様子で左右にうろうろ歩き始めました。

飼い主さんと挨拶を交わします。

「あら。まだ小さいわね」

「4ヶ月なんです」

「ああ、そうですか。まだ犬に慣れてないのかな?」

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はい。慣れてません。。。全く慣れてません。すみません。

あきは怖いけど興味に勝てなかったようで、先輩犬に近づいていきました。

大きさから言うと、すでにあきの方が大きいのですが、あっという間に逃げ腰に。

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先輩犬は大人しい子で、吠えるとか威嚇するとかは全くせず、黙ってあきの様子を眺めてくれています。

匂いは嗅いでみたいけど、でも

『あ~やっぱり怖いよ~』

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あきが逃げ出しました。

「うちの子、柴犬は怖がるんだけど、まだ小さいから大丈夫みたいね。あら、怖いの?」

逃げ出すあきを見て飼い主さんが笑っています。

逃げ出してはみたものの、気になって仕方ないあき。横目で見ています。

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とりあえず尻尾はのびずに巻いたままなので、そこまでは怖がっていないようです。大人しい先輩犬がやっぱり気になるようで、あきは再度体制を立て直します。

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じっと先輩犬を見つめて・・・

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近寄れるかも、と思ったけど、やっぱり怖いらしく再度逃走。

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少し離れたところから、また眺めます。あきちゃん、そんなに気になるなら、もう一度行って見たら?わんちゃん、怖い子じゃなさそうよ。大人しく待っててくれてるよ?

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全く目を離すことはなく、あきは逃げ腰ながら先輩犬の側に行こうかどうしようか考え中。

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意を決して、再度先輩犬の方に歩き出しました。先輩犬はじっと待っててくれています。そろそろ、そろそろ歩いて近づきます。

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でもまた及び腰に。先輩犬も散歩中。あきに付き合ってばかりはいられません。そろそろお別れしなければ。

「さあ、じゃあ行こうか。ね」

飼い主さんに促されて歩き出した先輩犬。

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「ありがとうございました」

「さようなら」

挨拶を交わしてここでお別れです。あきはその後ろ姿を名残惜しそうに眺めます。

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「あきちゃん。そんなに残念だったのなら、ちゃんと挨拶してみればよかったのに」

「あきちゃん、まだまだだね」

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先輩犬の姿が見えなくなるまで見送るつもりなのか。じっと見守るあき。

「さ、あきも行こうか。散歩続けるよ」

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先代ナナは、自分が犬だという自覚がなかったのか、他の犬と交流することはほとんどなかったのですが、あきはどうやら違うようで、他の犬に会うと怖がりながらも興味を示します。もしかするとこの子は犬好きで社交的な子なのかもしれません。

他の犬に対して怖いから吠えるということもありません。怖い時には無言で逃げるだけです。

もしかしてドッグランとかもにも行けるようになるかもしれません。

 

今日はトイレも出来るようになったし、先輩犬との交流もあったし良かったね、とあきに話しかけながら、2人と1匹で家路につきました。

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