柴犬あきとの生活 112
先輩柴犬Sちゃん、気になります
退屈で寝ているあきに声をかけます。
「あきちゃん、お散歩行く?」
その瞬間サッと立ち上がり、ドアの近くに瞬間移動。
「散歩」という言葉はあきの大好きな言葉になりました。散歩という言葉を聞いた時のあきの喜ぶ姿が可愛くて、いつも出かける前に連呼して煽ってしまう私です。。。
散歩までの手順をしっかり覚えているあきは、今日もいち早く自分の首輪とリードの前へ。
『これこれ。これが必要なんでしょ?』
そうね、あきちゃん。それをつけないとお外に出られないのよね。
一秒でも早く外に出たいあきは、自分でリードを取ろうと引っ張ります。
「あきちゃん、それ結んでるからあきちゃんには取れないよ?」
こんなにリード、リード!って率先してリードを取ろうとするあきですが、未だに首輪とリードの装着時には逃げ腰です。分かってるのにやっぱり嫌、というとこでしょうか。
今日もアウアウ文句を言いながらリードをつけられて外に出ます。
丁寧に、丁寧に本日も草の匂いを嗅いでまわり、近所の犬の情報収集に余念がありません。
いつもの散歩道。歩いて行くと、今日も先輩柴犬Sちゃん(首輪に名前あり)が庭でパトロール中でした。
いち早くあきを見つけたようです。「ワンワン!!」という声が響いてきました。
突然吠えられて緊張するあき。先輩柴Sちゃんを遠目でじっと見ています。最初に吠えられた時には、怯えて尻尾が伸びてしまっていましたが、最近あきは慣れてきたのか、はたまた大人になってきたのか、尻尾は巻尾のまま見つめるようになりました。怯えているのか、観察しているのか。あきはこういう時には吠えずに相手を見ます。
「あきちゃん、Sちゃんに吠えられたね」
声をかけると振り返ってこの表情。
『なんか、怒ってるよね』
「Sちゃんね、多分一生懸命自分の庭を守ってるんだよ。縄張りっていうのよ」
再びあきは真剣な表情で、激しく庭を走り回りながら威嚇しているSちゃんを観察。
見ているうちに飽きたのか、ちょっと地面の匂いをクンクン。
そして再びSちゃんを観察。
公園の遊歩道に面したお家の庭を守っている柴犬Sちゃん。あきと同じ毛色で可愛い顔をしている女の子です。犬の散歩コースで日々闘っている彼女は大変だなぁと思って私も眺めます。おそらくSちゃん専用の運動場にしているお庭には木はなく、本当にグラウンド状態です。Sちゃん、相当可愛がられていると見ました。犬小屋は置かれていないので、眠るのはお家の中で、天気の良い日の日中だけ外で自由にしているようです。
我が家もあきを庭に出してあげられるように整備しようという計画が出ているのですが、家庭菜園も楽しんでいるのでどうしたものかと夫と考え中です。
しかもイングリッシュローズが3本とハイブリットローズが1本。私でも時折流血になる激しい棘を持つストロベリーヒルというじゃじゃ馬がその中に含まれているので、きっとあきはそのうち一度は手痛い目にあうと思います。
あきは花を見ると匂いを嗅いだ後パクッと食べようとする癖があるので要注意です。
あきの遊ぶスペースと花壇、野菜をどう共存させて行くかが課題です。
あまり長居をして、Sちゃんを無駄に走り回らせても可哀想なので、あきに声をかけて再出発。公園を経由した後我が家を目指します。
このSちゃんとの遭遇から数日後。夫との散歩であきに変化が起こりました。
その日も庭をパトロールしていたSちゃん。激しくあきに吠えましたが、なんとあきは遊歩道で姿勢を低くしてお尻をくっと持ち上げたそうです。
「遊ぼうよ!!」と遊びに誘う時のポーズです。
あきちゃん、どんなに吠えられても黙って見ていたけど、怖がってたのではなくて、あなたSちゃんと遊びたかったのね!
でもね、あき。あなたは遊歩道で、Sちゃんはそこからかなり高い場所にあるお庭に居るでしょう。1m以上の段差は越えられないし、Sちゃんは縄張りを守ってる状態でしょ。一緒には遊べないんじゃないかな。Sちゃんが散歩している時に遭遇したら可能性はあるけど、会ったことないもんね。
でもそんな事はあきにはわかるはずもなく。この日以降、あきはSちゃんに対して、どんどん積極的な行動に出て行くのでした。