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uretano雑記帳 その7

シェルティー、ナナの話し

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柴犬あきが家族になる前に、我が家にはシェルティーのナナが居た。

「ナナ」という名前は、ディズニーの『ピーターパン』に出てくる乳母犬ナナのように賢く育つようにと私がつけた。

 

ナナはその望み通り日本語のよく分かる賢い犬に成長した。あっという間にいろいろな芸を覚え、お留守番もお手の物。家族が出かける用意を始めると、自らケージに入って鍵を閉めてもらうのを待つ。

牧羊犬だけに仕事を与えられるのが大好きで、新聞を運んで欲しいと言うと誰に渡すのかも理解した上で颯爽と運んだ。ちゃんと届けて褒められた時の誇らしげな顔が今でも忘れられない。

彼女は日本語をよく理解していたので、こんな長い言葉も理解できた。

おもちゃで遊んでいるナナにこう伝える。

「おもちゃで遊ぶのをやめて、ハウスに入ってお留守番しようか、ナナ」

すると、ショック!と言う顔をして、おもちゃをポロっと口から落とし、なぜ?という顔をしながらも自分のケージの前に行き、鼻で扉をバウンドさせて中に入る。

不満だが言われた事はちゃんと守らなければならない。ワーキングドッグらしく、飼い主のいう事はとにかくよく聞いた。

 

そんなナナはシェルティにしてはビッグサイズだった。決して太っていたわけではなく、骨格が大きかったのだ。その大きな体は私の背中にちょうど良いサイズで、よくおんぶをせがんで来た。

私の腰に後ろ足、両肩には前足を乗せてしっかりおぶさってくる。まさしくジャストサイズだった。

彼女は自分の目線より高い位置の物が見たくなるとおんぶを頼んでくる。台所、出窓、あちこち彼女は私の背中におぶさっては、高い位置から見える景色を確認して満足していた。

高い場所を満たそうにしている時、腰を屈めてやるとさっと背中に乗ってくる。

彼女をおんぶした写真が今でも手元にあるが、すっかり慣れた様子でおぶさっている。

 

シェルティーだったナナはその首まわりの白い襟巻きが美しく、一度も首輪をしなかった。散歩の時にはハーネスを利用し、迷子札もつけていなかった。

ある時、庭に出ていた彼女は何かに夢中になっている間に庭から歩道に落ちたことがあった。家の中にいた母は気付かず、私は不在だった。

すると、家のインターフォンが鳴った。

「あの、門扉の所に家に入れて欲しいって泣いてる犬がいるんですけど、この子おたくの犬じゃないでしょうか?」

なんと、ナナは家から出てしまったことに驚き、逃げる事もなく家の前で困って泣いていたのだ。

急いで玄関に迎えに出るとホッとしたナナが母を待ち受けていたらしい。

何ともナナらしいエピソードで、聞いた時にはホッとしながらも笑ってしまった。

 

我が家にはナナの写真が沢山残っている。子犬の頃から写真を撮られ慣れていた彼女は、「ナナ、写真撮るよ!ハイ!チーズ!」と言うと、カメラ目線でじっとする。いつの頃からか、写真を撮る時には動いてはいけないと彼女は認識するようになった。

そして撮り終わると『終わった!』とばかりに尻尾を振ってこちらにやってくる。母がふざけてカメラを持たず、エアーカメラで撮るふりをした時には、ちゃんとポーズを取った後、『今の嘘でしょ!!』とばかりに飛びかかっていた。

いつしか彼女は「察し犬ナナ」と言う別名を持つようになった。

 

そんなナナは、自分が察するだけに我々にも色々と察して欲しいと思っていたらしい。言葉は発しないが見事なまでに無言で言いたい事を伝えて来た。

散歩に行きたいと、とにかく私の視界に入るようにして見上げる。それでもダメなら座っている私の背中に顎をペタッとくっつける。それでもダメなら立ち上がって両肩に自分の前足をかけて、お腹を背中にべたっとくっつけてくる。

『ねえ、散歩連れてってよ~』というアピールだ。

雨が降る日に散歩をせがんだ時には、ナナを抱っこして表に出て雨で少し頭を濡らす。すると雨かと認識して静かになった。

 

そんなある日。夕方のナナのご飯を忘れると言う事件が起こった。夜遅くになり、

遂に彼女の堪忍袋の尾が切れた。

リビングでくつろぐ私たちの目の前で、プラスチックの自分のお茶碗を咥えて投げてよこしたのだ。

『私のご飯、忘れてるんですけど!!!!💢』

「あ!!!!!ご飯忘れてた!!!」

「ごめん!!!!本当ごめん!!!」

察し犬ナナに人間が怒られた瞬間だった。

 

そんなナナは晩年、余命3ヶ月と医師に告げられた後、1年頑張って生きてくれた。

察し犬ナナは、母の闘病生活が始まる直前に息を引き取った。母は入院中、ナナは賢いから私に迷惑をかけたくないと思っていたのよ、本当に賢いいい子だったわと語っていた。

ナナ享年16歳。彼女が1年頑張ってくれたのは、私たちと1日でも長く一緒にいたいと思ってくれていたからだと今でも思っている。

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