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uretano雑記帳 その12

不思議な野生、奈良の鹿

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私が奈良の鹿に初めて会ったのは恐らく3歳ぐらいの頃だったと思う。我が家のアルバムには、ビニール製で足に車輪のついたピンク色の鹿のおもちゃを引っ張る私の写真がある。祖父が買ってくれたと母が話してくれた。

しっかりとした記憶があるのは4歳の頃。当時住んで居たマンションの子供会で奈良公園を訪れた。近所のお兄ちゃんが鹿を怖がって泣き、気が小さいなぁと子供ながらに思った記憶がある。その後も、学校の遠足で奈良公園に行くと当たり前のことだがいつも鹿に会うことになった。

 

という様に、奈良寄りの関西に住んでいると奈良公園の鹿は結構身近な存在なのである。

そんなこんなで雨が降った後はフリーズドライになってた鹿のフンが雨水で戻って臭う事も知っているし、彼らの主食は芝生で、最近ではボランティアで全国から送られてくるどんぐりを良く食べているのも知っている。子鹿が生まれると一時的に保護されて、子鹿のお披露目をイベントとしてやっているのも知っている。

夏の暑い日には寺の境内の軒先でどべーっと寝ているし、雨宿りもする。

鹿せんべいを買ってくれる人を待ち受けて、せんべい屋周辺にはいつも鹿が待機している。奈良公園を歩くと、普通に鹿は人に紛れて歩いているし、お菓子を持っている人と見かけると猛烈アピールもしている。

私にはもはや、可愛い~とか、怖〜いとか、そういう感覚はなく、鹿は日常である。

奈良女子大学に通っていた知人によると、弓道場の芝生の上に鹿が寝そべって動いてくれないという事も日常茶飯事だそうで、奈良公園周辺で鹿は我が物顔で、どこにでも出没している。そんな状況を知っている私の目にはもはや野生には見えないが、奈良の鹿は実は野生である。

 

学生の頃、その「野生」を実感する出来事があった。早朝、奈良駅を歩いていたときのこと。日中は車が多く行き交う大通りを早朝で車がいないのを良いことに、力一杯爆走している牡鹿がいた。それはもう、凄いスピードで、その姿はまさしく野生だった。あの鹿とぶつかったら間違いなく大怪我だと恐ろしくなる姿だった。昼間観光客に見せている姿とは全く別の生き物だった。

 

さて、そんな馴染みのある鹿は最近海外からの観光客のお陰で鹿せんべいを貰える機会が増えてきている様だ。奈良公園を歩くと、インバウンドに鹿せんべいをもらう鹿を必ず見かける様になった。

 

奈良の鹿は「鹿せんべい」を待ち構えている。その証拠に、鹿せんべい屋さんの周辺には、よく鹿が群れている。でも、奈良の人々と共存している彼らはちゃんとわきまえていて、決して売り物の鹿せんべいには手を出さない。

山積みになったせんべいには手を出さず、観光客が買った瞬間に鹿が取り囲み、その迫力に負けた観光客が思わず地面にせんべいを落としてしまう姿をよく見る。

今でこそ鹿せんべいをもらえる彼らも、数年前、まだ海外からの観光客が少なかった時期は、鹿せんべいを買ってくれる日本人が少なく、こんな努力をしていた。

 

友達と久々に、奈良公園に遊びに行ったときのこと。鹿せんべい屋さんの前に人だかりが出来ていた。

「何だろう」

「なんかすごくない?あの人だかり」

訝しげに近づいて見ると、鹿せんべい屋さんの前にこんな鹿が立っていた。

 

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「えーーーっ!!!!!」

見ると、鹿が手ぬぐいで頬かぶりをして立っているではないか!!!

せんべい屋さんが手ぬぐいを巻いたらしい。

なんとこれは、当時、鹿せんべいがあまりに売れなかったので、鹿とせんべい屋さんのおじさんの営業活動だったのだ!!!!

人寄せ鹿!そして大人しくそれに従う鹿!!

しばらくのち、鹿は大人しく頭を差し出し、おじさんに手ぬぐいを解いてもらっていた。

 

見事なコラボ。見事な共存!!!この鹿の努力で人は集まり写メはものすごい勢いで撮られていたが、しかし!せんべいを買う人はごくわずかだった。。。。

 

それから数年後。現在はこんな努力をしなくても鹿せんべいがもらえる様になったのだろう。もうこんな姿の鹿は見かけなくなってしまった。

鹿にとっては良いことだろうが、あの姿を思い出すと、ちょっぴり寂しくもなる今日この頃。あの鹿にもう一度会いたいと思うのである。

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