柴犬あきとの生活 97
散歩に行きたいです!
あきが夫の座椅子に座って私をじっと見つめています。
「あきちゃん、どうした?何かな?」
するとあきは急いでピアノの側へ移動。
「あき、どうしたの?」
こっちをじっと見ています。
そしておすわり。
あきはピアノの上を見上げています。そして、今度はピアノに手をかけました。
一体何を言っているのかと少し考えて、ぴんと来ました。
「あ!父さん。あき凄いよ。散歩アピールしてる!」
何とあきは、散歩に行くときに私が着るコートがピアノの上に置かれているのを覚えていて、コートを指して「散歩、散歩」と言っているのです。
コートを指し示した後、今度は玄関に繋がっているドア前へ移動。
しばらくこっちをじっと見た後、再びピアノの横へ。
またピアノに前足をかけて立ち上がろうとしました。
完全に散歩のおねだりです。ご飯といい、散歩といい、この子は無言で的確なサインを出して来ますね。
先代のシェルティ、ナナは散歩に行きたくなると、私の真正面にやって来て、私が動くと急いでまた正面から顔を見上げ、次に背中の肩甲骨あたりに長い顔をピトッとつけて無言のおねだりをしていました。それでも私が動かないと、両肩に両手をかけて、それはもうおんぶ状態で「ね~連れてってよ~」と無音の言葉を伝えて来たものです。うちの子は何でこう代々おねだり上手に育つのかしら。
じゃあ、散歩に行きますかと思っていたら、散歩デビューを果たした父が行くよと申し出てくれました。
二人の会話から「散歩」の言葉を聞き取ったあきはもう、興奮状態です。
「早く、早く!」とドアの前でぴょんぴょん。
開けてもらうと、自分のリードとお散歩バッグに一目散に駆け寄ります。
「あ~もうこの子完全にお散歩の流れ覚えたね」
未だ首輪をつけられるのは嫌がって逃げるのに、散歩に行くにはこれが必要ということはちゃんと分かっているのです。
散歩に気が急いているあきが手すりに掛かっているリードを引っ張り始めました。
「あきちゃん、括ってるから取れないよ!待って!待ちなさい!!」
こんなに『首輪とリードを早くつけて!!!』と言っているのに、いざ装着となると相変わらず拒否してブツブツ文句をいう彼女をどうにか押さえ込んで準備完了。
あきの散歩用にスニーカーを購入して来た父の準備も完了しました。
二度目の散歩をするあきと父を送り出します。
なかなかあきの散歩に行ってくれなかった父ですが、一度行ってみると楽しかったのか早々に二度目がやって来ました。良い運動にもなるし、気分転換にもなるのでしょう。私もあきが居ない間に「掃除機」が平和にかけられので助かります。
それにしても、あきは自発的な子といいますか、まあ、ナナもそうだったので犬はみんなそうなのかもしれませんが、目で口ほどに物を言い、自分の主張はしっかりして来ます。彼女なりに家族内のルールは守りながら、でも言いたいことはしっかり言うという感じです。どうすれば相手に察してもらえるかよく分かっているようです。ナナは家族の様子を見て何をすれば良いかの自分が察するタイプでしたが、あきは家族に察してもらおうとするタイプです。個体差というのか、犬種差というのか、本当に違っていて面白い。とにかくどちらも一緒に暮らしてて飽きません!
いつものように散歩の後は駆け込んで来て、自分の手が濡れる勢いで水を一気飲み。
そしてその後はコテン!
あきちゃん、あきちゃん。眠るのはいいけど、それお父さんの座椅子。お散歩連れて行ってもらったのに座椅子乗っ取りはまずいんじゃないの?