柴犬あきとの生活 150
音が怖い
あきは今日も私の手が空くとすぐにボールを持って来ました。彼女はすきあらば遊んで貰おうと常に家族の動きをみているのです。
そんな訳で、彼女のリクエストに応えてボール投げを繰り返しているうちに、台所にボールが転がって行きました。
床に転がっただけだったらよかったのですが、台所の床でバウンドしたボールは、食品トレーを貯めているゴミ袋の上にポンっと乗っかったのです。
あきは日々アグレッシブに動いていますが、以前も書いたように案外用心深い子です。なので、ちょっと変わった場所にボールが行くと自分で取れなくなります。
という訳で、今もトレー袋の前でボールを見つめるばかり。
「あきちゃん、どうした?」
『取れないの。。。』
「ボールがトレーに乗っかっちゃったね」
『取って?』
またこの子は!自分で頑張らないですぐに人に取ってアピールをするんだから!!
という訳で、自助努力を促します。
「あきちゃん、取れるよ。全然難しくないでしょ」
じっとボールを見るあき。
どうも、ビニールのガサガサいう音が嫌なようです。
「ほら、あき頑張れ!」
分かっているのに取ってくれない私に諦めたあきが手でボールを取ろうとしました。顔を近づけるのは怖いようです。
でもガサガサいう音が怖くてまだ取れません。
先ほどよりも後退したような。
そしてちょっと離れた場所で伏せました。
「あきちゃん。取れないね。でもあきちゃん、これ簡単に取れるよ?頑張れ!!」
そう言われて仕方なく匍匐前進。
亀の歩みで匍匐前進。
微妙~に近づいて来ました!
あき、頑張れ!
前足がトレーにちょこっとかかりました。
でもまだボールまでの距離は遠い!
頑張って手を伸ばしたあき!遂に取れるのか?!
と、ここでまた人頼みモードに。
『ねえ、取って?』
「あきちゃん、あと少しじゃない!頑張って!!!ほら!!」
『うーん。。。』
と、今度は立ち上がりました。踏ん切りがついたのでしょうか?
と、ささっと後退。
もう~。案外ダメダメですよ、あきちゃん!
「なんで取れないの?あき」
今度は少し角度を変えて眺めています。
こっちから攻めれば取れるかな?と思ったのでしょうか。
おっ!手も出て来た!!
でもここでフリーズ。仕方ないのでボールをちょっと転がしてあげることに。
「あき、今度こそ取れるでしょ?」
近くまでボールが転がって来て、漸く口で取ろうとし始めました。
「あき、やっと取れたね!」
トレーの上にボールが乗ってから何分かかったことやら。
何がそんなに怖いの?あきちゃん?
取ってしまえばまた投げてが始まります。
「投げて欲しいんだったら、離しなさい!」
そう言われてポロっと床に落とした瞬間、また何とトレーの上に!!
「あ~あ。もう、また乗っかっちゃったね」
でもあきは学習する子です。そーっと、そーっと音がしないように、自分にトレーが崩れてこないように咥えました。
「あきちゃん、今度はすぐに取れたね!!」
ちょっと得意そうに投げてくれるのを待っています。ビニールの音が怖くなくなる日はいつの事かしらね、あきちゃん。