柴犬あきとの生活 168
ルンバとの遭遇
階段を上って2階へ行けるようになったあきが、また階段に足をかけて居ます。
「あきちゃん、2階に行きたいの?」
じっと上を見つめるあき。先ほど帰宅した夫が着替えに2階に上がったのです。夫と一緒に居たいのと、上がれるようになったばかりの2階に興味津々なのとが重なり、階段を上ろうかなと考えている最中のようです。
「あきちゃん、階段上っても下りられないでしょ?自分で下りられない子は上っちゃダメなんだよ」
私の言葉が分かるはずもなく。上をじっと見つめています。
「あき、自分で下りられないんだったら上っちゃダメだからね!」
暇なあきとは違って私は夕飯の支度があるのでその場を離れます。
暫く後、あきの姿が見えないので階段を確認してみると・・・
「あき!またあなた2階にいるの!」
上から私を見下ろしています。
「あき、下りといで!」
そう言っても私を見つめるだけで全く動きません。下りたくないのか、下りられないのか。間違いなく両方なのですが、チャレンジする事もしないあき。どうやらあの階段から落ちた記憶が災っているようです。
「ほら、あきちゃん、下りて!」
そう声をかける私の声が聞こえたようで、部屋から夫が出てきてあきを撤収。
「自分で下りられないのに2階に来ちゃダメでしょ。あき」
当たり前のような顔をして抱っこされて下りて来ます。
もう、甘えたなんだから!!!
あきはすっかり2階が気に入ってしまったようで、気づくと姿が見えないということが日常になってきました。
今もまた1階で見つけられないので2階かしらと階段に行って見ます。
「あきちゃん?」
すると、ひょこっと部屋から顔を出しました。またまた2階にいる夫を追って上ったようです。
「また2階に居た!」
なんだか馬耳東風みたいな顔をしています。全くもう。自分で下りられないくせにどんどん上っちゃうんだから!
「あきちゃん、何してるの?」
私も2階に上がってみます。廊下から部屋に入ったあきは、夫に構って欲しいようで遊びモードに入っています。
楽しそうに動いていますが、フローリングの床が爪痕だらけにならないかちょっと心配です。
夫はルンバを動かす準備をしていたそうで、せっせと床の障害物を片付けています。
ルンバと言えば掃除機。掃除機といえばあきの敵。私が掃除機をかける度、あきはずっと怒って噛み付こうとしています。
「ルンバ動くとどうなるんだろうね」
「怒るかな」
そしてスイッチオン!ルンバから音がした途端、あきがやって来ました。
自分で動き出したルンバにあきはちょっと及び腰。
私が使う掃除機と違い、ルンバの動きは予測不可能。追いかけているつもりが、追いかけられている状態にもなるわけです。
遊んでいるのか、怒っているのか。お尻をクッと持ち上げて構えていますが・・・
もちろんルンバが反応を示す事はなく、あきは全くスルーされました。
「ワンワン!ワンワンワン!!」
あ~あ。吠えちゃった。
「あきちゃん、吠えないの!」
アプローチも虚しく、ルンバはどんどん移動して行きます。
そして今度はあきが先回り。
クルクル。クルクルブラシを回しながら掃除中のルンバ。
そしてずっと後を追ってはお尻を持ち上げているあき。
「ウーッ!!ワンワン!」
「あきちゃん、吠えても無駄だって。うるさいよ」
ちょっと慣れて来たのか、今度は噛んでみる気になったようです。
でも相手は全く反応がない上に、変な音を立てながら回るばかり。また怖くなってちょっと離れて吠えています。
その動きをじっと見つめて観察。
そしてまた吠えて
またお尻を上げてかまえる!
そしてついに夫があきを捕獲。
「うるさいよ、もう。ほら、下に下りるよ」
2階に上がっては抱っこ撤収されるあき。でも2階にはまだ探索中の部屋はあるし、ルンバまでいるし、飽きないないよね、あきちゃん。
でも自力で下りられるようにならないと、一人前とは言えないのよ。早く下りられるようにならないとね。